始まりは築30年の
マンションからでした。

平田勝治
赤字製造機と呼ばれた男。
「事業をつくりたい。誰もやったことのないような新しい事業を」。時代が20世紀から21世紀に変わる頃、暑苦しいほどにそんな情熱を燃やしていた1人の若者がいました。後のグローバー創業者、平田です。20代の当時は、ソフトウェア開発企業に勤務。新規事業部に所属していました。将来の独立も夢見て事業計画書をいくつも書く日々。しかし、立ち上げる事業はことごとく失敗。残ったのは大きな赤字のみ。「俺たちのボーナスが少ないのは、お前のせいだ!」と同僚に責められたことも。情熱が結果に繋がらない。空回りの毎日でした。
神の啓示だ!
グリストラップとの出会い。
そんな平田にひとすじの光が差します。飲食店の排水による環境汚染問題が叫ばれていた当時。「グリストラップのメンテナンス、新規事業としてやってみたら?」と、当時の会社の社長から提案されたのです。「グリストラップ?何それ?」。グリストラップの「グ」の字も知らない平田。しかし、「俺にはもうこれしかない。これは神の啓示、やるしかない!」と飛びつき無謀にも起業してしまいます。そこからは七転八倒の日々。1,000社以上に電話をかけまくって1社しか話を聞いてくれなかったり、技術が未熟でグリストラップがまったくきれいにならなかったり、独立したものの結局収益を上げられず、元の会社に頭を下げて出戻って、もう一度修行を積むことに。そんな苦労を通じて、平田も一歩ずつ事業家として成長。2005年、満を持して再独立を果たし、グローバーを創業しました。
日本一を誓った。
葛飾区奥戸、30㎡の2DKで。
創業後、本社を構えたのは葛飾区奥戸でした。築30年、トイレは和式。30㎡の小さいオフィス。というか、古びたマンション。平田はその上の階の一室に住み込み、「徒歩15秒、アクセス最高!事業に打ち込めるぞ」と1人、鼻息を荒くしました。平田には譲れない想いがありました。「やるからには、日本一の会社をめざす。グローバーは、グリストラップで日本一になるんだ!」。社員は、平田とメンテナンス職の計2人。平田は社長・営業・総務・経理・メンテナンスすべてを兼務。「全社会議だ!」と言って、2人だけの会議を週1回欠かさずやる。長く険しい、でも何だかんだ面白い。そんな日本一への道が始まりました。
全国進出。
急拡大! 急転落!
創業から2年。グローバーは大きなチャンスを掴みます。リーマンショック前、景気の良い時代。お客様だった飲食チェーン2社が、一気に店舗数を拡大して全国展開を成し遂げ急成長したのです。それに合わせて、グローバーの事業も大きく拡大。大慌てで社員数を増やしたものの、自社だけでは仕事が追い付かず、パートナー企業開拓のため平田が全国行脚の旅に出るほど。日本一の夢がもう手の届くところまで来ている…と思ったのも束の間、同業のライバル企業にそのお客様を横取りされてしまったのです。売上の大半をそこに頼っていたグローバーの業績は、文字通り真っ逆さま。拡大から一転、ピンチに陥ったのです。
メンテナンス業じゃない。
新しいサービス業をつくれ。
苦境を経験し、平田とグローバーは学びます。「似たような業者は山ほどいる。従来型のメンテナンス業をやっていては、あっという間に取って代わられてしまう。グローバーにしかできない新しいビジネススキームをつくらなければ」。ここから組織変革を断行し、営業・業務・メンテナンスを分業化。タイムリーにお客様の要望に応えることができ、さらなる改善やアイディアをどんどん提案・実行できる、他にはない組織体制をつくり出しました。もはやメンテナンス代行業ではない。飲食店の店舗環境改善サービス業へと生まれ変わったのです。事業領域も、主力のグリストラップに加え、空調、内装など多角化。グローバーは似た会社のいない、オンリーワンカンパニーへと脱皮を果たしました。
「では社長、どうぞ!」
司会=社長、
プレゼンター=社長の説明会。
事業を創り出す会社は、人材を創り出す会社にならなければいけない。そう考えた平田は、2011年に新卒採用をスタートさせます。でも、嬉しい悲鳴で会社は大繁盛で大忙し。みんな現場を離れられません。だったら、自分でやるっきゃない!と、社長の平田がみずから説明会を企画・出演。司会の社長が「それでは社長、どうぞ!」と言ってみずからプレゼンに登場する。自作自演のちょっとおかしな説明会でしたが、メッセージは真剣そのもの。「日本一になる!」「業界のイノベーターになる!」会社のビジョンを熱く熱く語りました。その結果、新卒採用で入社してきたメンバーたちは、今やグローバーの主力メンバーに。明日の事業家たちがぐんぐんと育ちはじめています。
足固め、完了。
本当に面白いのは、これからだ。
グローバーも創業からはや十数年。グリストラップのメンテナンスビジネスでオンリーワンカンパニーになり、会社としての足場を固めた最初の10年でした。そしてこれから先は、さらなる新しい冒険をする。そう覚悟を決めています。グローバーは、店舗環境改善サービス業から、知恵とITとロボットを駆使して人手不足問題を解決するソリューション企業へ。そんな、誰も考えたこともやったこともないビジネスで、誰も行ったことのない道を切り拓いていきたいのです。未来は見えないから面白い。グローバーが本当に面白くなるのは、これからです。

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